2011年6月29日水曜日

祭のあと


どうも、江戸紫です。
名所江戸百景展が昨日で終わってしまいましたね、しまいましたね。
結局、浮世絵紹介も連載と謳ったものの
4作品しか紹介できず。
無念であります。
江戸百景展開催期間限定の連載にするつもりでしたが
浮世絵屋さんと間違われない程度にこれからも続けていけたらと思っていますので
どうぞ宜しくお願いいたします。

額装なしの展示法なので、作品にホコリが。
120枚全て丁寧に筆で払いました。
開催期間中も毎日綺麗にしていました。
面倒な作業ですが、一枚一枚作品を観ることが出来るいい機会でした。


すっかり片づけられ箱におさまった江戸百景120枚。
あの青い毛氈を、これから掃除機とコロコロのダブルパンチでやっつけます。

外された看板が祭のあとを物語っております。

2011年6月22日水曜日

猿わか町よるの景 の巻

今回は猿若町です。
天保の改革で浅草の北部に移転した芝居小屋の集まる町。
もともとは日本橋人形町付近にあったんですが、
歌舞伎は幕府に嫌われていたので、辺鄙な場所に移転させられたんですね。
でも幕府の思惑とは裏腹に、浅草寺や吉原が近かったこともあって
かえって繁盛しちゃったそうです。

ちなみに猿若町の名称は、
江戸歌舞伎の草分け猿若勘三郎(初代中村勘三郎)の名にちなんでつけられたそうです。

上の絵に描かれているやぐらは
幕府公認の芝居小屋の証でありました。
でも普通はやぐらに座紋が描かれた幕が張ってあったりするんですけど
なんでかな、張ってないのは営業時間が終了したからなんでしょうか。

当時は明け六つから暮れ六つまでの日中の興業でしたから。




芝居小屋(こちらは森田屋さん)の前には、天水桶と手桶が置いてあります。
なぜってもちろん、消火の為です。
江戸の町は火事が多かったですし、
芝居小屋が猿若町に移転させられたキッカケも
中村座の楽屋から火が出て周辺を焼いてしまった事にあるんです。

そういえば、助六くんがお芝居の中で追手に追われて天水桶の中に潜るシーンがありましたね。
ちなみに新日屋さんの助六くんは神田の家に来ことがあるんですよ。http://www.shinnichiya.com/photo.html





芝居小屋に向かい合うように並んでいる芝居茶屋。
「いやー今日もいい芝居だった」
「あらそれはよかったわ。何かお飲みになります?」
「そうだなあ、生ビールジョッキで頼むよ」
なんて話しているんでしょうか。
当時のお客さんは芝居茶屋を通じて席をとったり、食事をとっていたそうです。




いやあ、ムーンライトと人の影が何ともいえずいいですなあ。

2011年6月21日火曜日

上野清水堂不忍ノ池 の巻

ジェットコースターじゃないよ。


どうも、今回は上野です。
江戸紫は学生の時から上野の良心価格婦人服店ABABさんが大好きでよく上野には出掛けるので
上野が描かれているとなんとなく愛着がわきます。

上の絵は奇妙な形をした「月の松」。残念ながら今はありません。
なんでこんな形になったんでしょうね。
一種の病気なのか、
それとも誰かが毎日通い、少しずつ力を加えて完成させた汗と涙の傑作なのか。







こちらが清水堂。
ここから不忍池や弁天堂、本郷大地の大名屋敷を一望できたのです。
寛永8年(1631年)、京都の清水寺を模して建立されたそうです。
たしかに構造は似ていますが、
下方に木々が少ないので、
こちらの清水の舞台から飛び降りたらきっと大変です。



ここは不忍池の中にある弁天堂に続く参道です。
今はこのあたりは食べ物の屋台が沢山並んでいますね。
学生時代にフィールドワークと称してこのあたりの屋台を食べ歩きながら
お店の方々とお話したことを思い出します。




このあたりは随分と桜がきれいだったようで
吉野桜、山桜、八重桜など、咲く時期が異なる桜を植えて
長く花見の楽しめる場所だったそうです。
ただ、いろいろと花見の規制が厳しかったこともあり
若い人たちは飛鳥山や向島に行って
こちらはお年寄りが多かったんだそうです。

今年は叶いませんでしたが、来年は上野でもお花見がしたいものですね。







ちなみに、広重は月の松を気に入ったみたいで
月の松オンリーの「上野山内月のまつ」も江戸百景の中に描いています。

2011年6月20日月曜日

摺り体験ルポ

18,19日にわたって行われた摺りの実演、摺り体験イベント。
お写真は、摺りの実演と体験指導をしてくださった松崎啓三郎氏の笑顔。
明るいお人柄でなんでも質問に答えて頂け、
調子に乗って色々質問しまくった江戸紫も大変勉強になりました。
大好きです。





今回は『堀切の花菖蒲』。
最後に花びらを入れて完成です。
最後の2工程を残した25工程を職人さんが仕上げて準備してくださり、
摺り体験者が2工程入れる形になります。


写真を見ると、版木の下の方2か所に凹みがありますが、
そこに紙を合わせて、ごしごし擦るわけです。
ちょっとでもずれると大変残念な仕上がりになります。







紙を合わせ、ごしごし。



完成作品も写真に収めたのですが、
SDカードを入れぬままシャッターを押してしまい、
デジカメとPCをつなげるコードも紛失していたという失態を犯した関係上、
ブログにアップすることができません。。。すみません。。。。

でも、とっても綺麗に摺り上がっていました!!

松崎さん、ありがとうございました!!
来年も松崎さんが来てくださる予定ですので、
今年来てくださった方も来られなかった方も
ぜひ記憶の片隅にとどめて
来年お越しくださいねーーー!!



あ、もちろん浮世絵版画展は28日まで開催中ですよ!!(月曜休館)


2011年6月18日土曜日

フランス人も浮世絵摺り!


閑話休題、江戸紫も連載は少しお休みして
昨日、本日と2日間にわたって行われてる浮世絵摺り体験の模様をお伝えします。

昨日はフランス人の方も摺り体験。
職人さんの指導をもとに、版木に色を塗り、紙を重ねて上から擦ります。

好評につき摺り体験のご予約の受け付けは終了してしまいましたが、
摺り職人さんの実演は今日も11時~16時まで(予定・昼休憩在り)行っております。
今回お呼びしている摺り職人の松崎啓三郎さんは荒川区無形登録文化財を保持していらっしゃる匠でございます。
とっても明るい素敵なおじさまで、質問すると丁寧に答えて頂けます。
昨日も摺りの体験をするしないにかかわらず、沢山の方が日ごろの疑問質問を匠に聞いていらっしゃいました。


もちろん、名所江戸百景復刻版画展は28日まで(月曜休館)開催しておりますので、
神田明神のご参拝のついでにぜひお寄り下さいませ!!



2011年6月17日金曜日

浮世絵うちわ


今日から「名所江戸百景」復刻画展がはじまりました。

浮世絵の展示とともに今回展示されているなかに
江戸うちわがあります。

これは浮世絵原画をうちわに仕立てたものです。
もちろん本物の原画ですので、色がとてもきれい。
そしてとても贅沢。

とてもおもしろいことに、一枚の浮世絵を見ているのとはまた違う
構図のすばらしさがあります。

もともと広重の浮世絵は構図の素晴らしさが国内外で有名ですが
うちわに仕立てることによって、絵がうちわの扇型にクローズアップされて
浮世絵一枚とはまた違う構図と色使いが生まれます。

この新鮮さがこのうちわの魅力ですね。
広重の作品でありながら、さらにまた違うデザイン性を引き出しています。

江戸うちわの特徴である竹細工も繊細で、
浮世絵の部分と合わせて非常に高級感のある仕上がりになっています。

本来であればここにフリーダイヤル電話番号をどどんと載せて、
是非ご購入して頂きたいお勧め商品なのですが、
非常に残念なことに、今回は展示のみになります。
(テレフォンショッピングかっ、ぺしっ。)

でもまた、うちわは作られるそうです。
その時におせんも買おうっと。

2011年6月10日金曜日

する賀てふ の巻


さて、これは何の看板でしょう?
ヒント1 「呉服物品々」と書いてあります。








ヒント2 大きい風呂敷包みを背負っている人がたくさんいます。





この暖簾を見ればもうお分かりですね。

三越の前身、越後屋の看板でした。








通りを挟んで右側が絹織物を扱い、左側は綿や麻織物を扱っていたそうです。
今では右側が三井本館、左側が三越デパートになってますね。
越後屋は、当時としては画期的な新商法とイケメン店員の活躍により、
一躍大人気呉服店になりました。

ここ駿河町は富士山の眺めが江戸一と言われるほど素晴らしく、
それゆえに富士山があった駿河の国から名前をとって駿河町になったのだとか。
なんでもわざわざ富士山がよく見えるように道路が作られたというのは本当かどうか存じませんが…。

江戸は火事が多かったので
この越後屋さんも江戸時代は10回以上も火事で建て替えたそうです。
大変です。

ただ、安政の地震では日本橋地域は比較的小被害で済んだそうです。
安政見聞誌などで調べてみると、色々わかるかもしれませんね。

2011年6月9日木曜日

神田明神曙之景 の巻

素敵なうなじですね。




皆様お元気でしょうか、江戸紫です。
あれから(前回の記事参照)髪を縛るのは控えているにもかかわらず、
首コリが頭痛に変わりつつあり、30秒に一度首を回しています。

上の絵は、今月17日から神田の家で開催される「名所江戸百景展」で展示される1枚、
「神田明神曙之景」に描かれている神田明神の巫女さんです。

当時はシュシュこそしていないもののポニーテールだったんですね!びっくりです。
今の巫女さんは割と下の方で一つに結んで、
紙や布や金属でできた髪飾り(「たけなが」や「紫」や「てんかん」などと言って神社ごとに違います)をするんですが
当時は…髪に何をつけていたんでしょうか、絵からは判然としませんが・・・
分かり次第またこのブログでお伝えします。



さて、この巫女さんは一体何を見つめているのでしょうか。




ここは神田明神の境内東側。
今でこそビルに囲まれてわかりにくくなってしまいましたが、
神田明神がある場所は丘になっていて


以前は周りの景色が一望できたそうです。
この作品は、神田練塀町や向柳原を通して下谷方面を望んでいるのだそうです。

でも、なんだか町が真っ黒ですよね。

安政の大地震で灰燼に帰した江戸の町を見つめているのだそうです。



だがしかし。
これは「曙之景」です。
それでもまた日は上るんだというメッセージがあります。


また、いちばん右にいる仕丁が持っているのは若水です。
若水というのは元旦の朝に初めて汲んで神前に供える水の事で、黄泉の水とも言われています。

ここにも、復興への新しい希望が描かれているんですね。
素敵な一枚です。



ちなみに。
この内容は神田明神の「夢叶参拝」に含まれるセミナーで
神職の方に教えて頂いた受け売りです^^;



浮世絵はただぼーっと眺めているだけでも綺麗ですが、
図像学的に解読していくとまた面白いですね。




2011年6月6日月曜日

名所江戸百景 展!








今日は暑いですね。



江戸紫は髪が長いのでこう暑いと後ろで一つに束ねるんですが、



そうすると髪の重みで首と肩が凝ってしょうがないのでまたほどきます。



そうするとまた暑くなって後ろで一つに束ねると首が凝って・・・の繰り返しです。






今年はざくっと短く切ろうと思います。









本題ですが。






今年も名所江戸百景展示会を開催いたします。


18日、19日はプロの摺り職人さんをお迎えして

摺りの実演も行います!!!!

それに合わせ、摺り体験も1,000円でご提供!

見て良し摺って良しの2日間です。

どうぞご期待ください!

詳細は神田の家HP http://kandanoie.com/about.html まで





千代田区観光協会さんが江戸百景展の宣伝ページを作ってくださいました!
http://www.kanko-chiyoda.jp/tabid/2394/Default.aspx

うちのHPよりもかっちょいいのは気のせいではありません。
精進します。